NOMAの”美術”本 と…

料理に関心が無いわけではないが、これは料理本として紹介するのではない。

私たちの仕事(ArsX)の目的は、音楽や美術の分野においてできるだけ美しいものや感動的なものを、一般の人々に紹介することである。情報化が過度に進んだ今、個人が自分だけの力で本質的に美しいと思えるものや真に感動的な芸術作品を数多く見つけることは難しくなってしまった。(と思われる。もちろん、そう思わない人もかなりいるだろうが。)

そもそも、あらゆる感動的なものにカワイイを連発する昨今の日本の女の子を観ていると、美と言う概念に対する認識がかなり希薄なようだ。そんな訳もあり、このような本を紹介するのは格段の意味がある。

仕事柄、めぼしい美術本にはできる限り目を通すようにしているが、涙が出るほど美しくて人に薦めずにはいられない… というレベルのものにはなかなかお目にかかれない。そんな中で出逢った衝撃の一だが、美術本ではなく、料理本なのである。それはまさに、「美術」とされてきた概念(というか現象)が今日置かれている状況を物語っているようだ。

続きを読む

名曲は本当に名曲か?

クラシックの名曲は本当に名曲なのか?

10年近くにわたって、W市が主催するコンサートのプロデュースをさせて頂いた。それ以前からのつきあいもあるが、国内外の優れた(クラシックの)演奏家とともに実り多い仕事ができたことを感謝している。そのような経験があってもなお、クラシック音楽の多くは...特に一般的に名曲と言われているものが...実は私にはよく理解できない(あまり面白いとは思えない)のだ...何十年聴いてもである!

去年、いつもお世話になっているA社から招待状を頂いて、40年前から名前はよく知っている有名な指揮者が率いる有名な海外オーケストラのコンサートを聴きに行った。1曲目はモーツアルトの有名な交響曲「ジュピター」。和声的な面白さと対位法的な面白さとが織り交ざって、流石にモーツァルトは天才、むべなるかな。と思える部分もあるのだが、それ以外のところは(気持ちは良いものの)冗長で、つい眠り込んでしまった。長大な2曲目については敢えて触れない。

続きを読む